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「いやー、悪い悪い。朝からなんも食ってなくて、すっかりおなぺこなんだよ。あはは」
僕は笑い交じりに大嘘を吐いた。
「鳴りすぎだっつーの」
「どんなけ腹減ってんだよ」
と周りから茶化され、音の主が百瀬であることをなんとか隠しとおせたようだ。
そうこうしているうちに、チャイムが鳴って昼休みになった。
※※※
「あの」
百瀬が僕に声をかけてきたのは、各々が昼食を終え、自由な時間をすごしているときだった。
「さっきはありがとう」
頬を朱色に染めながら、小さくささやかれた。
「お腹はもうだいじょうぶ?」
僕は周りに聞こえないように言った。
「うん。ちゃんと食べたから、たぶん鳴らないと思う」
やっぱり音の主は百瀬で間違いなかった。
お腹をさすりながら、百瀬は照れていた。
「ってことは、朝ごはんを食べてこなかったの?」
僕の素朴な疑問に、彼女はうなずいた。
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