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「昨日の夜に、空腹は最高のスパイスだ、って、アニメでやってたの。それで試してみたくなっちゃって」
予想外な理由に、僕は思わず噴きだしてしまった。
「なんだよそれ」
「だってー」
頬を膨らませ、百瀬は拗ねたように言い返した。
「そのアニメのキャラが、めっちゃおいしそうにごはんを食べていたから」
「で、その代償がアレと」
「だ、だってー、まさかあんなおっきな音が鳴るなんて、自分でもびっくりしちゃって。あ、でも、お昼に食べたお弁当はすっごくおいしかったよ」
言いわけがましく……まあ言いわけだが、百瀬は笑顔で満足げにつけ足した。
とたん、彼女のお腹が元気よく鳴った。
「はう!」
あわてて百瀬はお腹を両手で押さえるも虚しく、ぐぅうー、と典型的な音が鳴り響いた。
「やれやれ。最高のスパイスの代償は大きすぎるみたいだな」
僕は肩をすくめ、五限目はどうしたものかと頭を抱えるのであった。
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