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私、あんたのことが……
(こんにちは、みなさん。私の名前は永井 莉緒『ながい りお』といいます。今、私は同じクラスの相沢 祐子『あいざわ ゆうこ』さんに屋上に呼ばれています。なにやら話したいことがあるそうです。一体、何なのでしょうか。こんな屋上に呼び出して……ま、まさか!! 愛の告白!? ……で、でも相沢さんなら……相沢さんっていつも長いロングヘアーに少し闇を渦巻いたような黒い目。私にはない物だから密かに憧れがあって……な、だからっていきなりキスとかは無しですよ!? あ、あんなに腕を組んで周りをぐるぐる回っていて……何を考えているのでしょう……でも、お友達からなら……あ、なんか変な意味になってしまいますね。でも大丈夫です、私はノーマルで)
「私、あんたのこと、嫌いなんだけど」
「……え?」
「だからさぁ、あたし、あんたのこと嫌いなんだよね」
(……え? わ、わ、私、なんか気に障るようなことをしてしまったのでしょうか!? 今も腕を組んでジッと睨んできていますが、そんなに私のことを嫌いだったなんて、私は何をしてしまったんでしょうか……落ち込みます)
「そう、その目よ」
「え?
「その目が私を狂わせる……心の中に蛇がのたうち回るかのように!!」
「あ、あの、私なにか気に障るようなことをしてしまったんでしょうか!!
今も苦しそうに胸を押さえていますがそんなになることを私は……!!」
「あんた、いい子ぶっちゃって……むかつくのよ」
「いい子ぶり、ですか?」
「そうよ!!」
「はわわ!! そんな急に叫ばないで下さい!!」
「その『はわわ』っていうのもムカつくのよ!!」
「はわわ!! ごめんなさい!!」
「そうやってすぐ謝るのも……まあいいわ、なんであたしがこんなにあんたにムカついているのか分かる?」
「え? い、いえ分からないです」
「あんた、この間の道徳の時間、覚えてる!? 自分の発言を!!」
「え……え!? あ……あの……申し訳ありません。覚えていないです」
「なんで覚えていないのよ!! あんたの!! あの発言を!! なんで覚えていないのよ!!」
「え!? なんか変な発言しましたか!?」
「してたよ!! 忘れもしない、あの時はバリアフリーの内容で様々な身体にハンディキャップを持っている話だった。そして、先生がどうしたら良いと思う? みたいな質問の時、あんた、何て答えたか覚えてる!?」
「え、えっと……?」
「あんたはこう言ったんだよ!! 『先生、教科書を全部、点字にすれば良いんじゃないでしょうか』って!!」
「はあ……」
「アホかあああああ!!! 教科書全部、点字にしたらあたしらが読めなくなるでしょうが!!!」
「はぁ……あ!! そ、そうですね!!」
「そのとぼけた反応も腹立つのよ!! ま、まあ提案自体は一考に値するものとは思ったよ。思った。だけどあんた。先生に『どうして学校の教科書は点字が無いんですか? バリアフリーを考えるなら真っ先に点字を実施すべきですよね、なんで実行しないんですか? この学校の道徳は薄いんですか?』って言ってたよね!?」
「あ、はい言ってました」
「理論武装やめろ!! 先生めっちゃ困ってたでしょうが!!」
「え!? は、はわわ」
「だからそのはわわっていうのやめろや!! 可愛いから!!」
「ごめんなさい!!!」
「まあいいわ、その後、先生は、散々悩んだ後『永井さん、たしかに正しいことは正しいことです。しかし、正しいことがいつも正しいとは限らないのです』って言ったでしょ?
「その時、あんたは!!
『すみません、ちょっと何言っているのか分からないです』
「Why!!!!!!!!! 分かれよ!! 何でわかんないんだよ!!」
「すみません、ちょっと何言ってるかわかりません」
「ほわあああああああい!!!!!???? 何で分からないんだよ!!」
「すみません、ホントに分からなくて」
「まあいいわ、そんなことはどうでも良いのよ」
「どうでも良いんですか……」
「それよりも、あんた、女子の着替えの時、どっか行っているわよね」
「はい」
「なんでよ……」
「えっと……私、他の人よりも胸が大きくて」
「だと思ったよ!!」
「えええ!!!???」
「人よりぱいぱいが大きいから、見られるの避けてたんでしょ!! そんなの誰だって分かるのよ!!」
「分かるんですか!?」
「そうだよ!! 何よ……あんた馬鹿にしてるの!? 自分より胸が小さい奴を!!」
「いえ……そんな馬鹿にしているわけじゃ……」
「じゃあ、見せなさいよ!! あんたの裸を!!」
「へ、へええええええええ!!!?!!??!???!! ここでですか!?」
「そんなわけないでしょ!? なんで私があんたのぱいぱいみたいなんて言ってると思ったのよ!!」
「でもそう聞こえるし」
「ぐぬぬ…………………………触りなさいよ」
「へ?」
「私の触りなさいよ!!」
「なんでそうなるんですか!?」
「いいから、さわれっての!!」
ムニュ
「あ……あん」
「……」
「……」
「いやいきなり何なんですかこれ!? 結局ただ触られたかっただけでしょ!!」
「は、はぁ!? そんなことないし!! てか、あんた、山本君に告白していたわよね」
「え!? 見てたんですか!?」
「見てるわよ!! そして調子に乗るんじゃないわ!!」
「何怒っているんですか!?」
「むしろ山本にお前を渡さない!!
「何を言っているんですか!?」
バダン!!!
「永井!!」
「山本君!?」
「俺、お前からの告白の返事するわ!!」
「え、ええ!? ま、まだ心の準備が……!!」
「お前サイコパスっぽいしタイプじゃないから却下な!!」
バダン!!
「……」
「……」
「あの……友だちになってください」
「嫌ですよ!!」
了
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