私、あんたのことが……

1/1
前へ
/1ページ
次へ

私、あんたのことが……

(こんにちは、みなさん。私の名前は永井 莉緒『ながい りお』といいます。今、私は同じクラスの相沢 祐子『あいざわ ゆうこ』さんに屋上に呼ばれています。なにやら話したいことがあるそうです。一体、何なのでしょうか。こんな屋上に呼び出して……ま、まさか!! 愛の告白!? ……で、でも相沢さんなら……相沢さんっていつも長いロングヘアーに少し闇を渦巻いたような黒い目。私にはない物だから密かに憧れがあって……な、だからっていきなりキスとかは無しですよ!? あ、あんなに腕を組んで周りをぐるぐる回っていて……何を考えているのでしょう……でも、お友達からなら……あ、なんか変な意味になってしまいますね。でも大丈夫です、私はノーマルで) 「私、あんたのこと、嫌いなんだけど」 「……え?」 「だからさぁ、あたし、あんたのこと嫌いなんだよね」 (……え? わ、わ、私、なんか気に障るようなことをしてしまったのでしょうか!? 今も腕を組んでジッと睨んできていますが、そんなに私のことを嫌いだったなんて、私は何をしてしまったんでしょうか……落ち込みます) 「そう、その目よ」 「え? 「その目が私を狂わせる……心の中に蛇がのたうち回るかのように!!」 「あ、あの、私なにか気に障るようなことをしてしまったんでしょうか!! 今も苦しそうに胸を押さえていますがそんなになることを私は……!!」 「あんた、いい子ぶっちゃって……むかつくのよ」 「いい子ぶり、ですか?」 「そうよ!!」 「はわわ!! そんな急に叫ばないで下さい!!」 「その『はわわ』っていうのもムカつくのよ!!」 「はわわ!! ごめんなさい!!」 「そうやってすぐ謝るのも……まあいいわ、なんであたしがこんなにあんたにムカついているのか分かる?」 「え? い、いえ分からないです」 「あんた、この間の道徳の時間、覚えてる!? 自分の発言を!!」 「え……え!? あ……あの……申し訳ありません。覚えていないです」 「なんで覚えていないのよ!! あんたの!! あの発言を!! なんで覚えていないのよ!!」 「え!? なんか変な発言しましたか!?」 「してたよ!! 忘れもしない、あの時はバリアフリーの内容で様々な身体にハンディキャップを持っている話だった。そして、先生がどうしたら良いと思う? みたいな質問の時、あんた、何て答えたか覚えてる!?」 「え、えっと……?」 「あんたはこう言ったんだよ!! 『先生、教科書を全部、点字にすれば良いんじゃないでしょうか』って!!」 「はあ……」 「アホかあああああ!!! 教科書全部、点字にしたらあたしらが読めなくなるでしょうが!!!」 「はぁ……あ!! そ、そうですね!!」 「そのとぼけた反応も腹立つのよ!! ま、まあ提案自体は一考に値するものとは思ったよ。思った。だけどあんた。先生に『どうして学校の教科書は点字が無いんですか? バリアフリーを考えるなら真っ先に点字を実施すべきですよね、なんで実行しないんですか? この学校の道徳は薄いんですか?』って言ってたよね!?」 「あ、はい言ってました」 「理論武装やめろ!! 先生めっちゃ困ってたでしょうが!!」 「え!? は、はわわ」 「だからそのはわわっていうのやめろや!! 可愛いから!!」 「ごめんなさい!!!」 「まあいいわ、その後、先生は、散々悩んだ後『永井さん、たしかに正しいことは正しいことです。しかし、正しいことがいつも正しいとは限らないのです』って言ったでしょ? 「その時、あんたは!! 『すみません、ちょっと何言っているのか分からないです』 「Why!!!!!!!!! 分かれよ!! 何でわかんないんだよ!!」 「すみません、ちょっと何言ってるかわかりません」 「ほわあああああああい!!!!!???? 何で分からないんだよ!!」 「すみません、ホントに分からなくて」 「まあいいわ、そんなことはどうでも良いのよ」 「どうでも良いんですか……」 「それよりも、あんた、女子の着替えの時、どっか行っているわよね」 「はい」 「なんでよ……」 「えっと……私、他の人よりも胸が大きくて」 「だと思ったよ!!」 「えええ!!!???」 「人よりぱいぱいが大きいから、見られるの避けてたんでしょ!! そんなの誰だって分かるのよ!!」 「分かるんですか!?」 「そうだよ!! 何よ……あんた馬鹿にしてるの!? 自分より胸が小さい奴を!!」 「いえ……そんな馬鹿にしているわけじゃ……」 「じゃあ、見せなさいよ!! あんたの裸を!!」 「へ、へええええええええ!!!?!!??!???!! ここでですか!?」 「そんなわけないでしょ!? なんで私があんたのぱいぱいみたいなんて言ってると思ったのよ!!」 「でもそう聞こえるし」 「ぐぬぬ…………………………触りなさいよ」 「へ?」 「私の触りなさいよ!!」 「なんでそうなるんですか!?」 「いいから、さわれっての!!」 ムニュ 「あ……あん」 「……」 「……」 「いやいきなり何なんですかこれ!? 結局ただ触られたかっただけでしょ!!」 「は、はぁ!? そんなことないし!! てか、あんた、山本君に告白していたわよね」 「え!? 見てたんですか!?」 「見てるわよ!! そして調子に乗るんじゃないわ!!」 「何怒っているんですか!?」 「むしろ山本にお前を渡さない!! 「何を言っているんですか!?」  バダン!!! 「永井!!」 「山本君!?」 「俺、お前からの告白の返事するわ!!」 「え、ええ!? ま、まだ心の準備が……!!」 「お前サイコパスっぽいしタイプじゃないから却下な!!」 バダン!! 「……」 「……」 「あの……友だちになってください」 「嫌ですよ!!」 了
/1ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加