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咲楽と出逢った頃、盛況なのは製薬会社とドラッグストアのみで、外食やエンタメ産業など水商売はもろにダメージを受けていた。 店の雇用を維持する為、守は出来る限りの策を打った。 通常ヘルプに入る従業員を在宅勤務させ、SNSを使った宣伝と接客にあてた。実入りは減るが、路頭に迷うよりマシだった筈だ。 代わりに、トップホスト達を執事の如く客に傅かせた。 各席を感染対策も兼ねてカーテンで仕切り、オープンからクローズな雰囲気に。そして幕内で、マンツーマンの極上サービスを提供する。 更には掟破り、推し以外の指名もOKにした。 破格の料金さえ払えば、雲の上の男達全てを相手にする夢も叶った。 守は未曾有の事態を乗り切る為に、個人の成績より店の存続が大事と各自を説得した。 自粛ムードや様々な制約下、 推しに会いたい 癒しを享受したい と来る客は有難いと思う反面…持てる財産で一夜を買う者もいれば、俺の妹みたいに大金をかき集めても救えなかった命もある…守は満席のホールを見渡しながら、一瞬詮無い思いにとらわれた。 今夜俺がお相手するのは、ご新規さん。 堀内様と高木様。ソファ席に座る彼女達を垣間見て、明るい笑顔に切り替えた。
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