9/10
前へ
/20ページ
次へ
彼と一緒に婚姻届を出しに行った日、夜景が綺麗なホテルの最上階レストランで食事をし、泊まった。 婚約期間と呼べる時期がなかったに等しいので、マー君は結婚指輪を奮発した。遠慮する私に記念だからと聞かなかった。 驚きのお値段のソレは、勤務中嵌められない。いつもチェーンに通したネックレスとして身につけてる。 「ふふっ」 ソファに座る咲楽は、片方の手をお腹に置き、もう片方で指輪をつまむ。 あの時、守が演出した余りにベタなシチュエーションを思い出し、笑う。 ラグジュアリーホテルに、一流レストラン。 鮮やかな花束と、ハイブランドの指輪。 『これでやっと夫婦になった。これからずーっと宜しくね、奥さん!』 そんな感動的な言葉を、若干タレ目なおさな顔で言われ、こそばゆくて思わず笑ってしまった。 『もう!マジなのに〜』 二人テーブル越しに笑い、戯れ合った。 その晩お互い上に下にで睦み合い、咲楽は気持ち良さの余り失神した。全身の血流が一カ所、守と繋がっているところに集中している感じだった。 『…今夜は、良いよね?』 そう言って彼は射精を繰り返した。直に擦れ合う感覚は、今までとは全く違う快感を咲楽に運んできた。 彼女は、薄皮一枚でも護るべきものがない無防備な状態。 汗が滴り落ちるのも構わず腰を振り、何度も穿ち注ぎ込む彼。 守はまるで、ようやく手に入れた土地を荒らし回る独裁者の様…咲楽は絶頂と共に、初めて怖いと思ったのを覚えてる。
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加