6/9
前へ
/20ページ
次へ
「う~ん、コレ必要?」 旅行用鞄を前に、咲楽は頭を抱えた。 近郊で一泊二日。 夏なのと妊婦で汗かきやすくなったとはいえ、小さな鞄一つで収まる。快適な車での移動だから、余計な衣類は要らない。 しかし、咲楽を悩ますのは『コレ絶対持っててね』と守から渡されたモノ。総レースのキワドイ下着。 『凄いんだよコレ、全部ハンドメイドなんだって』 旅行が決まって早々に押し付けられた。 ヤバイ、変態でしょ…この作り手。 咲楽は指でつまみ上げて、嘆息する。 真っ白よりアイボリーがかった上品な色合いと、滑らかな上質糸で誤魔化しているが、デザインがエグい。 「マー君こんな下着、私には似合わないよ…」 咲楽は子どもの頃から色黒で、発育が良かった。主に身長の方に栄養がいき、裸足でも守より咲楽の方が高い。 可愛い、 女子力高めなモノに、 幼い時からコンプレックスを抱いてきた。 徐々に守が取り除いてくれたが、やはり抵抗感はある。  それに前よりお腹が目立ってきた気がする。今更勝負下着で守の前にたっても、その気にならんでしょ?!
/20ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加