7人が本棚に入れています
本棚に追加
「えっ?そうなの?」
デートスポットで有名なサービスエリア手前で渋滞し始めたので、守は前方を気にせず亜美を見た。
「分からなかった?今までヒットした明るくノリが良い歌詞は、大体私と過ごしてる時。しっとりしたのは、私が有人といる時」
亜美は右拳をグッと握り締め、
「スランプなんか、あの娘に無いのよ!」
吐き捨てるように言う。
「ゴメン」
バツが悪く、守が視線をフロントガラスに戻そうとした途端、
「!?」
亜美に襟を捕まれ、引き寄せられた。
長いような短いようなキスが、前の車が動き出し終わる。
お互いの唇が離れる瞬間まで、二人とも瞼は閉じなかった。守はアクセルを踏みながら、
「もう止めて、奥さん専用なんだから」
抗議し前を向く。
「飲んだらキス魔だった頃が懐かしいわ」
そう言って彼女は傾いてた体を戻し、車窓に再度目をやる。
「あ~黒歴史~」
古客の亜美に新人だった時の話を出され、守は深い溜め息をついた。
最初のコメントを投稿しよう!