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「えっ?そうなの?」 デートスポットで有名なサービスエリア手前で渋滞し始めたので、守は前方を気にせず亜美を見た。 「分からなかった?今までヒットした明るくノリが良い歌詞(うた)は、大体私と過ごしてる時。しっとりしたのは、私が有人といる時」 亜美は右拳をグッと握り締め、 「スランプなんか、あの()に無いのよ!」 吐き捨てるように言う。 「ゴメン」 バツが悪く、守が視線をフロントガラスに戻そうとした途端、 「!?」 亜美に襟を捕まれ、引き寄せられた。 長いような短いようなキスが、前の車が動き出し終わる。 お互いの唇が離れる瞬間まで、二人とも瞼は閉じなかった。守はアクセルを踏みながら、 「もう止めて、奥さん専用なんだから」 抗議し前を向く。 「飲んだらキス魔だった頃が懐かしいわ」 そう言って彼女は傾いてた体を戻し、車窓に再度目をやる。 「あ~黒歴史~」 古客の亜美に新人だった時の話を出され、守は深い溜め息をついた。
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