1.昔のふたり

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 東防衛軍基地。防衛省が管轄する地球外生命体——名をブリーチャーとも呼ばれる専門対処基地の1つである。  新たな人類——ウォーリアは今やブリーチャー殲滅に欠かせないヒューマンリソースとなり、各国は重宝していた。その分ブリーチャーに狙われやすく、サポートする一般人も基地に住んでいる。  防衛省関係者も住んでいるこの施設では、数千という自衛官、ならびに技術士たちが、日々日本の安全を守るためにそれぞれの仕事に邁進(まいしん)している。  中でも、国民の注目度が高いのは、攻電即撃部隊(こうでんそくげきぶたい)通称【ever】と、防雷撃装甲部隊(ぼうらいげきそうこうぶたい)通称【over】。日本が誇るブリーチャー対策専門の殲滅部隊。  命を張って戦う姿は、国民の目に映りやすく、時に英雄と称される。  しかし、彼らは機体(スーツ)という機械を身に纏うことで、やっとブリーチャーという驚異的な能力を持つ生物に対抗できる。機体(スーツ)なくして、ウォーリアは英雄になれはしない。  また、彼らの特殊な体を戦闘に特化させるためには、様々な工夫が必要である。  科学的アプローチによる心身のサポート、組織的防衛戦略の立案・運用、防衛費や物資の支給。これらの環境を整備できるからこそ、多くの国民が今を生きられていると言っても過言ではないだろう。  最近になって、東防衛軍基地に転属となった木城満穂(きしろまほ)も、隊員を支えている1人である。そして、一部の隊員と技術士の厚意(こうい)により、木城の歓迎会をやることになった。 「では、木城満穂室長の歓迎会を始めたいと思いまーす!! はい、拍手~~~!!」  座敷の一番端の席につく特殊整備士の海堀詩音(かいほりしのん)音頭(おんど)をとると、拍手が木霊(こだま)する。テーブルには水の入った6つのグラスと箸、それとおしぼりが並んでいる。
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