病院に向かう

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病院に向かう

 母は僕がものごころつく頃には突然いなくなった。 「あなたのお母さんはちょっと変だったのよ。」  祖父母はそう言って母のことを大して話してくれなかった。父は居なかった。  だから僕は独力で母のことを知ろうとした。覚えていることはすべて記録に残し、母の遺したものから人伝で聞けることをすべて聞き出し、いつ母とまた出会えるのかも分からないのに、母のことを考え続けた。  高校卒業をしてすぐに働きに出た。幸い職場の仲間に恵まれて、成人したときには貯金もそれなりに貯められるぐらいにはなった。そして、いつか来る日を夢見ていた。
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