回顧録・後半

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 それから近くにいた人が通報してくれて警察が来た。犯人は後日捕まった。すでに複数の被害者が居たそうだ。 『女の子がこんなところをひとりで歩いているのも問題でしょ。』 『ピアスなんか開けちゃってさ。ほんとは自分も楽しかったんじゃないの?』 『抵抗もしなかったなんて、ムラムラしてたところもあるはず。』  事情聴取、裁判、週刊誌の取材、声が酷くなり、今度は耳にナイフを当ててしまった。それなのに声は鳴り止まなかった。  すべてが終わった頃には死のうと思ったのに、私は身籠ってしまっていた。この子まで殺せなかった。私は退職金と多額の慰謝料をもってして、思い出のある父方の田舎に消えた。
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