1.再会、溺れる夜

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 寛人(ひろと)が親しげに話しているけれど、いったいなに繋がりなんだろう? 「望くんね、実智に会うの楽しみにしてたんだって」 「……え?」 「寛人の会社に今年入った新人くんでね、今日実智のこと誘ってほしいって望くんに頼まれたらしいよ? 知り合いにこんな可愛い子いるなんて聞いてないしー」  は? なにそれ?  その前に、あたしは完全に〝はじめまして〟なんだけど。え? あたしのこと、知ってる? 「また会えて嬉しいよ。実智ちゃんっ」  困惑していると、望くんがニコッと微笑んだ。なんだその笑顔、天使か!?  隣で終始ご機嫌な望くんの事が、やっぱり思い出せないでいた。  お店を出てからも、当たり前の様に望くんはあたしの横にずっといる。 「じゃあ実智またねっ!」 「え、あ、うん。また」  友香は寛人と二人で煌めく繁華街へと消えて行った。  あれ? これって、二人きりじゃない? 「……じゃ、じゃあ、あたしも……」  頭を下げて歩き出そうとしたら、腕を掴まれた。 「送ってく」 「……え」 「と、言うか、送らせてください」  ペコンっと頭を下げたかと思うと、不安気に顔を覗き見てくるから、そんな望くんの潤んだ瞳が可愛くて頷くしかない。 「やった。行こうっ」  ニパッと笑顔になって手を繋がれる。  第一印象よりもだいぶ可愛くて幼く見えるんだけど……酔っているから? 「あ、あの……望くんって、何歳なの?」  あたしよりもずっとずっと年下な気がしてきた。 「……それって、言わないとダメ?」 「え……あー、別に、言いたくないなら」  女の人に年齢聞くのがアウトなように、男の人にも迂闊に聞いてはいけなかったのかも。 「……二十三」  ぽつり。呟くように言われて、あたしは耳を疑った。思わず繋がれていた手を離してしまう。 「え!? に、に、二十三!?」 「……うん」  思ったよりもずっとずっと若かった……。 「あー、ごめん。若いとは思ったけど、ほんと若いね」  あたしからじゃないけれど、手とか繋いじゃってごめん。心の中でとりあえず謝っとく。 「ねぇ、実智ちゃん。俺と付き合って」 「……は?」  え? 今なんて言った?  聞き違いだよね? なんの冗談。  望くんの緩んだ笑顔に思わず笑えてきてしまっていると、その顔が近づく。  あー、あたし、反射神経鈍ってる。  そう思った時にはもう遅くて、望くんの唇があたしの唇に吸い寄せられるようにくっ付いた。  避けれたはずなのになぁ。  キスなんていつぶりにしたんだろ。望くんの唇柔らか。 「オッケーってことでいいの?」 「え、」  いや、キスは受け入れちゃったけど、それはちょっと無理だ。  もう一度近づいてきた望くんの口元を両掌で塞ぐ。
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