二日目

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「あああ……っ!!!」 「ララ!?」  ララは全身に電気を帯びているが、掌で押さえているのは頭だけで、痛みでというよりは苦しみで呻いているようだった。 「おい!ララに何をした!!」  面布の男に怒号を飛ばすも、男は何てことのないような口調で返した。 「データを書き換えているんですよ」 「データを……?」  イクスが眉を顰める。 「僕、クラッキングが得意で。このゲームにもよく侵入しては運営にバレないよう小さな改竄を行ってきました。何せ人口が莫大なゲームですからね。少しくらいなら目に留まることもなかったんです」  男の目の前にキーボードのウインドウが現れ、何かを打ち込んでいる。それがララを痛めつけている原因だと悟り、イクスは大剣を発動させ階段を大きく跳躍し上段から斬りかかった。しかし、見えない壁に弾かれる。プレイヤーキル用の防護プログラムだ。 「最近、パートナーの心に主人への敵意を持たせる実験をしてまして。やりすぎて通報が増えたので運営に見つかるのも時間の問題ですが、どうせあと1日でこの世界は滅ぶ。その後で捕まろうとどうでもいいんです」  捕まることも想定済み。破滅型は歯止めが効かない。益々厄介な相手だ。  それに、今の言葉は。 「最近横行しているプレイヤーとパートナーの戦闘、糸を引いていたのはお前だったのか」 「彼等も皆貴方達と同じ様に自分達は信頼関係で結ばれていると宣った連中です。結果はご存じの通りでしたが……と、出来た」  男の前のゲームウインドウが全て消え去る。同時に、ララに纏わり付いていた電流も消え去った。 「ララ、無事……っ!?」  イクスが伸ばした手を、柔らかなララの手がはたき落とす。それはペアを組んで初めての、拒絶の意だった。 「ララ……?」  イクスがララの瞳を覗き込む。青く澄み渡っている筈の目は何処か茫洋としていた。  ララがイクスの首に向けて両腕を伸ばす。瞬間、何処からか現れた水色髪の男が彼女を羽交い締めにし、取り押さえた。  イクスの脳裏に昨日のゴルキーとの会話が蘇る。これは、まさか。 「お察しの通りです。今から貴方達には、殺し合いをして頂きます」
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