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「……よし、こんなもんかな」
街外れの森で銀河草を粗方摘み取り、イクスは一息吐く。
複合クエストの第二段階を迎えた二人は、銀河草の群生地へと赴いていた。
配達してきた星屑麦に見合うようにとなればなかなかの量だが、二人がかりではあったので存外早く採り終えた。
土ばかり見ていた顔を上げる。既に空の茜も眠りかけ、宵闇が訪れようとしていた。
ぐるりと辺りを見渡す。ララの姿は見えない。
手分けをして銀河草を採取しようという話だったから、少し離れた所にいるのだろう。大きな声で呼びかける。返事はない。
さてどうしたものか。陽が落ちるのは存外早く、ララの居るであろう森の奥側は既に黒く染まり見えなくなっている。無闇に立ち入っていいものか。
イクスが思案していると、突如背後から自身を呼ぶ声がする。
「うおっ」
振り返るとそこには、先程まではこの場に居なかったララが立っていた。
手には銀河草の入った籠を持っている。
「びっくりした。ワープか?」
問いかけると、ララははい、と苦笑いを浮かべた。
「森の中で迷ってしまって。私達パートナーは、一定時間が過ぎると相手の居場所に瞬間移動するので、それを利用して戻ってきました」
「そうか。無事で良かった」
二人は示し合わせ、ベイニータの元へと急いだ。
♦
「いやあ、本当にありがとうね。お陰でリーケンメテルを沢山作れたよ」
無事銀河草を送り届けたイクスとララは、ベイニータ本人の要望で料理が終わるまで待機していた。パンが出来上がるまで見守らなければ、クエスト達成とはいかないのだ。
「お疲れ様です」
「貴方達もお疲れ様。はいこれ。報酬と、リーケンメテルのお裾分け」
「わあ、ありがとうございます!」
ララが嬉々としてパンを受け取る。報酬が主だろうとイクスが苦笑するが、最早リーケンメテルしか目に入っていないようだった。
「また今度もさ、頼むよ。次に手伝ってくれたら報酬も弾んじゃう」
「……はい。その時は、喜んでお手伝いさせて頂きます」
彼がそう微笑んだのを最後に、ベイニータと別れを告げ、クエストは終わりを迎えた。
彼女は、知らないのだろう。また今度、が無いことを。だが、わざわざ教えて不安を煽る事も無いとイクスは判断した。
長いようで短い一日が過ぎ去り、二つの影が帰路に着く。
「……帰ったら、ご飯を作って戴いたリーケンメテルと一緒に食べましょう」
「そうだね。何を作ろうか」
「シチューはどうですか?」
「良いね、材料を買って帰ろう」
こうして、一日目が終了した。
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