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「遅かったね陽太」
日陰、そこにはツインテールの女の子、凛がいた。
「なんで凛がここにいるんだよ。学校は?」
「あはは……サボっちゃった。」
笑う彼女の手には日常、メロンパンがあった。
未開封。
ちょうど良かった。最後に君の幸せそうに食べる姿を見せてくれよ。
だが彼女は食べようとしなかった。
「なぁそれ食べないのか?」
「今日は食べない。これは陽太が食べるやつ」
「いや俺はいいよ。凛に食べて欲しい」
彼女はそんな言葉を無視してバサッと袋を開けると
「いいからいいから!ほら」
と俺の口へ強引に突っ込んだ。
「ねぇ陽太。恥ずかしいからさそのまま聞いてて」
彼女はヘアゴムを外す。
髪をおろすとその中に髪の毛ではない一本の棒状物体を見せつけた。
なんだこれは。例えるなら、果物のへた?虫の触角の様にも見えるが1本しかない。
俺はメロンパンを咥えたまま驚いた目を見せる。
「こないだの告白、すごく嬉しかった。私も最後だから嘘はつかないよ。」
髪を下ろした君はすごく可愛かった。彼女は少し涙ぐんだ様子だったが、すぐにいつもの笑顔でこう言った。
「陽太はさ私のこと好き?」
俺も嘘はつかない。頷いた。
「そっかぁ……うれしいな」
「陽太。最後だからよく聞いててね!」
彼女はにやりと笑うと同時に告白した。
「陽太のことアリかナシかで言うとね……私は……」
次に瞬きをした瞬間、俺は新幹線の中にいた。
トンネルの中、目の前には窓に反射した俺がいた。
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