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新幹線の中で俺は笑った。
彼女らしい別れ。
別れ際に彼女が放ったつまらないダジャレ。
俺は笑った方がいいと思ったから笑った。
このトンネルを抜けたらすぐ東京なのだろう。俺をあるべき場所へ運ぶ。それが彼女なりの恩返しなのだろう。
俺はもう一口メロンパンをかじった。口にたくさんの砂糖をつける。トンネルを抜けるともう日が落ちかけていて、それと同時にたくさんのビルが現れた。
もうすぐ次の駅に到着。アナウンスが聞こえた。
都会に慣れなくてはいけない、もちろん流行りも。
「あぁやはりそうだったか」
きっとあれはお前の巣じゃなかったんだ。逆に巣から遠ざけてしまったんだろう。
「これは驚いた。今日はなんの用で?」
もう虫の声は聞こえてこない。
俺は新大阪駅で降車するとすぐに東京行きの新幹線を探した。
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