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凛香はダブルソーサーの上にあるカップを見るのも、お菓子を見るのも初めてで、どうして良いかわからず戸惑った。それを察知したななおは、聖母のように微笑むと凛香に小声で呟いた。
「大層にセッティングされているけれど、何も気にすることはありませんことよ。目の前にはただ紅茶が入ったカップがあり、お菓子の乗ったお皿があるだけのもん。お皿の枚数なんて、お気にする必要なぞはありませんわ。美味しくいただければ良いのですから、手掴みでもよろしくてよん。わたくしは一向に気にしませんから」
「はあ…そう、言っていただけるのであれば、遠慮なく。いただきます」
凛香はスコーンを手で半分に割ると、ナイフでクリームをたっぷりつけて頬張った。
発酵バターの香ばしくよい香りが鼻から抜ける。その後に、クロムテッドクリームの濃厚さと小麦の旨さが押し寄せてきた。
「んー!美味しいですw!初めて食べました!こういうお菓子」
「でしょう?龍源寺が作るスコーンは絶品なのよ!さ、もっと召し上がって」
紅茶を飲みながら、凛香はもう半分のスコーンを口に入れた。
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