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ななおもその様子を見て安心したのか、そう言うそばから、大きな手でスコーンを鷲掴みにして口に運んだ。
乙女らしい大きな口はスコーンが小さなケーキに見えるほど一口で食してしまった。クロムテッドクリームにもスコーンを付け、パックンチョという感じだ。指に付いたクリームを少しも残さず愛おしそうに唇をはわせた。
(本来、スコーンはナイフで食べやすい大きさに切ってから、クリームをつけて食べます)
濃厚なクリームの味が彼女に満足げな恍惚をもたらした。
お皿の上のお菓子はものの3秒もたたずに無くなり、ティーベルを鳴らし、龍源寺を呼び出した。
「龍源寺、このお皿では小さすぎていけないわ。何事も大は少を兼ねると申しますでしょう。もう二回り大きいお皿を準備して、バイキングのケーキを右から順に6分の1ピースずつお願い」
「ははは。して、ななお様、大きいお皿とは如何程のものを?」
「嫌だわ。そんなこと小食乙女のわたくしに尋ねないでいただけます?大きいと言ったらあれよ、あれ」
「あれ?」
「そう、あれ」
「かしこまりました。あれ、でございますね。少々お待ちを」
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