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優雅な身のこなしで、冷たい視線を送る周囲の人だかりを縫って、影のように近づいた。
「ななお様、こちらにおいででしたか」
「あら?龍源寺しゃん。もうわたくしを見つけあそばしたのでありんすか?折角、この人混みでまいて差し上げたのにw もう〜」
「ななお様の隠密行動のレベルも以前にも増して上達しておいでで。この龍源寺、感服致しておりますぞ」
うやうやしく首を垂れながら、一礼した。
少女は目の前で何が起こっているのかわからず、目を丸くする以外になかった。
老紳士に視線を向けていた「ななお」と呼ばれた女性?が、少女の方にぐんっと勢いをつけて向き直った。
人差し指を口元にあて、ピンクのグロスが塗られた肉厚の唇のあたりを軽く抑え、ニヤリとした。
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