先生、恋ってなんですか?

8/21
35人が本棚に入れています
本棚に追加
/79ページ
ありがとうございます、と、お店を後にしてキョロキョロ先生を探す。 さっきまで手ぶらだったのに、その手にショップの袋がある。 「何か買ったの?」 「あぁ、まぁ」 「ふーん?」 「じゃあ用事もすんだことだし、行くか?」 「うん」 もう間もなく先生はいつもの仕事の時間だ。 帰らないと。 電車に揺られて来た道を帰っていく。 「先生、今日はありがとう」 「あぁ。あ、お前ちょっと付き合えよ」 電車から降りると、先生はそのまますぐ近くのカフェに入っていく。 私もそれに倣う。 あぁ。 そういえば、ご飯があれだけじゃあお腹すくよね。 なるほど、合点がいく。 通された席に着いて、暖かいおしぼりで手を拭いた。 普段動きっぱなしで働いているとはいえ、そういうのとこういうのとはまた別の次元で。 足がけっこうくたくたになるものだ、と一息ついて、すっと店内を見回した。 店内はモノトーンで統一されていてスタイリッシュな感じ。 だけど、ソファ席なんかもあって、冷たさは感じない。 おしゃれ、って言葉がしっくりくる。 そんなおしゃれなカフェには、おしゃれなメニュー。 メニューの写真は、パスタにワンプレートごはんに……どれも美味しそうだし、絶妙におしゃれ。 あら。 ドリンクも、コーラにローズマリーが差してあるだけでずいぶんおしゃれな印象になるものだ。 「すみません」 軽く片手をあげて店員さんを呼ぶと、軽い足取りで店員さんはやって来た。
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!