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2 自警団
宿屋は村にある唯一の宿泊施設だが、その食堂には大きなテーブルが中央にドンと置かれていて村の住人の憩いの場を実は兼ねている。
この村には他に軽食屋や酒場、甘味処も在るのだが器量の良い若い娘であるニーナ目当てで村の若者の溜まり場になることも多々あった。
最も彼らはガタイのいい傭兵あがりのニーナの父親に時折蹴散らされているのだが、忘れた頃に凝りもせずまた集まり始め彼女にちょっかいを出すのである。
「なあ、ニーナ祭りのパートナーは決まったのか?」
あと半月程するとこの村と隣村との合同の春祭りが行われる。
豊穣の女神を称える祭りは若者の社交の場であり、互いに認め合った男女が同じ花を髪や胸元に飾り広場で輪になり踊るのである。
それ以外にも自由に踊って良いのだが同じ花を飾る男女は特別で、恋人同士であることを周りに対して宣言している事になる。
要するに庶民の婚約宣言みたいなものだ。
「踊るわけ無いじゃない! 仕事でそれどころじゃないわよ」
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