時のエスカリエ 〜幸せへの階段〜

４ 兄からの手紙

　夜。全ての店の用事が終わり家族で食事を取っていると突然父が

「サジェスが祭りに帰ってくるらしい。長期休暇が丁度重なるらしいな」

　無愛想にも見える父がほんのちょっとだけ相好を崩しながら届いたばかりの兄からの手紙を読みながらそう言った。

「え、ホントに！」

　ガタンと音をさせてと椅子から飛び上がるように立ち上がるニーナ。

「ああ。春の試験後の休暇らしいな。祭りの１０日前に王都を出ると手紙には書いてあるな」

　壁に掛かったカレンダーを振り返り、王都からは馬で４日程掛かるから・・・と計算して

「え、じゃあもうすぐじゃないの！　兄さんの部屋の掃除をしなくちゃ間に合わないよ～何でもっと早く知らせてくれないのよ」

　唇を尖らせむうっとむくれた表情をするニーナ。

「試験の結果次第で休暇が取れるかどうか決まるらしい」

「そう、サジェスは試験結果が良かったってことよねぇ」

　母が微笑み父がそれを見てニッと笑う。

「実技は『極』他の座学は『秀と優』だそうだ」

「「凄い！！」」

　母と娘が同時に喜んだ。