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先に隣へ座らなくなったのは彼の方だった。
クラス内で真っ先に決めていた委員会の仕事が、夏過ぎの行事に向けて活動を始めたことが理由だろう。
それを通じて彼は、気の合う仲間と乗るようになり、後方で楽しげな横顔が窓硝子に。
当然、私は息苦しさもないのだからマフラーを取ることもなければ、もう必要のない気候となっていたのだ。
そうしてこの名もない朧な関係は、降り続く雨を残しただけで何も生まれなかった。
「…………」
しかし大人になった今でも、こうして忘れられずにいるのだから。それがそうなのだろう。
なるほど。
何故実らないのか、理解した気がすると眺めた窓に当たる卯の花腐し。
終
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