二、もうひとつの顔

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 ……どうしようか。もう一杯コーヒーを注文し、ティラミスのケーキも食べようか……。それともジェラートにするか……。どちらも美味しそうだ。いっそのこと、ティラミスとジェラートのセットにしてしまおうか……。  メニューを広げ真剣に悩みながら、フッと窓の外を見た。  ん?  妙に寄り添った二人の男性が、駅方面から歩いてくる。一人はスーツを着て、一人は迷彩柄のハーフパンツ。ベルトがだらしなくぷらんぷらんと腰からぶら下がっている。首回りがザックリ編んであり鎖骨が見えるサマーセーターに長い革紐のネックレス。手首にはファッションアイテムであろう革製のリストバンドのようなものを付けている。  妙な色気を放つ風貌に遠目ながら市五郎は目を引かれた。  一目でそっち系だと分かる二人。彼らとすれ違う人も、こっそり振り返っている。当人たちは素知らぬ様子だ。  堂々としたカップルだ。なるほど、夜には夜の人間ウォッチングがあるということか。短編をもう一本仕上げたい私にはもってこいじゃないか。これはデザートを楽しんでいる場合じゃない。しかしどうする? 会計を済ませている間に、二人を見失ってしまうだろうか……?  伝票を手に考えていると、歩道の二人がこちらを見た。  スーツの男が店を指さす。  ……え?  思いがけない接近。しかし、それ以上に市五郎が驚いたのはハーフパンツ姿の男の正体だった。近づいてくる二人に市五郎の目が大きく開く。  結城……さん?
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