五、内密の依頼

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「いえ、あまりそこは気にしていないですね」 「……そう、ですか」  結城の言い回しは「年上と付き合っていたけど、気にしていなかった」と取れる。むしろ「年上と付き合う」ことの方が多いのかもしれない。  レストランでの甘えた様子が思い出され、市五郎は焦りながらも、モヤモヤを感じた。しかし、今は、恋人はいないと言う。  やはり目撃したアレは「一夜限りの関係」だったのか。それとも、あのあとすぐに別れたのか……。  いずれにしろ己の失態にひどく後悔していると、結城が言った。 「高山さんは、お付き合いされている方がいらっしゃるのですか?」 「え?」  まさか質問が返ってくるとは思わなかったのでドキッとする。  だが、結城の口調はカラッとしたもので、ただの会話のキャッチボールに過ぎないのだとわかった。ホッとしながらも、若干の切なさを感じる。  興味がないクセに、そんな質問をしても意味ないだろうと不貞腐れた思考が過ぎった。
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