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 オリヴィアに教えてもらったその店は、夜はパブになるようなオープンテラスのカフェだった。私がきょろきょろしていると、顔を上気させた色白の焦げ茶の髪の若い男性が走り寄ってきた。彼がノアだと私は確信した。  私たちはオープンテラスの丸テーブルに腰かけ、向かい合った。 「ジェシカ。よく来られたね。わざと意地悪して店の名を書かなかったんだ。それでも君は」 「ごめんなさい」  私は俯いていた。 「違うの。オリヴィアという、私の働いている画廊の人が、教えてくれて」  彼もまた目を伏せた。 「いいんだよ。で、僕のことを覚えてはいるの」 「ごめんなさい。覚えてない。でも」  彼は目を上げた。 「家にあなたと撮った写真があったわ。だからすぐに分かった」  周囲はプラタナスの豊かな葉が微かに揺れて、木漏れ日が揺れている。  ノアはコーヒーを注文した。私は今日はティー。  ウェイトレスが運んできたときのコーヒーの香りに覚えがあった。なぜかうちにあるコーヒーと同じ種類。  私たちは静かに向き合っていた。  かつてもこうしてこの店でよく会っていたに違いない。けれど、その記憶はない。彼は安らいだ印象を私に与えるが、私はその先を見るのが怖いと思った。
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