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つい黙り込むと、ノアはまた表情を和らげた。
「気にしないで。責めているわけではない。やむを得ないことだから」
「何が、あったの」
彼はつと立って、傍らのチェストの方に足を運んだ。チェストの上に、これまではなかった写真立てが二つ置いてあった。私は駆け寄った。これまでは確かにこの家にはなかったはずのものだ。いや、その記憶さえあいまいだが。でも、考えられる理由としては、先に合鍵でこの部屋に入ったノアが置いたものだろうということだった。
やや大きめの写真立てには私とノアが写っている。後ろは、見覚えのあるこの街の近郊のガーデンのものだ。背景の白亜の女神像でそれと分かる。季節は春か秋か。バラの花が背景にある。
笑っている私。何の屈託もなく。私はこのように笑う人間だったのだろうか、とふと思った。
そして、並んで置かれたもう一つの写真立てには、三人の人間が写っていた。私が真ん中で、私を挟んでノアと、もう一人の若い男性。金色の髪を短く刈っている。黒っぽいTシャツにジーンズ。そのTシャツの柄に何か覚えがあるような気がした。
顔を上げてノアの横顔を見た。
教えて欲しい。この男性は誰なのか。あなたは知っていて、今夜この二枚の写真をここに持ってきたんでしょう。
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