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もうドラッグストアの看板は目の前に見えている。
確かドラッグストアの外にトイレはあった筈だ…。
そこまで行けば何とか…。
こんなにドラッグストアを遠く感じた事は無い。
実際に歩いても五分と掛からない距離だし。
再びお腹がギュルギュルと音を立てる。
私は顔が引き攣っている筈。
これでトイレに誰か入っていたらどうしよう…。
そんな誰かを待つ余裕なんて無い。
その道沿いに設置されているガードレールに手を突いて、一歩一歩踏みしめる様に歩く。
私の横を自転車が通り過ぎる。
追い越し様に私の顔を覗き込む青年の目。
別に刺された訳じゃないんで…。
もうそんな事を言う余裕も無い。
舞う雪も強くなってきた。
強い風で乱された髪が口に入るが、それを指で出す余裕も無い。
ふと顔を上げると、さっき自転車で私を抜いて行った青年が戻って来るのが見えた。
もう、行って…。
こっちに来なくて良いから…。
勿論、そんな言葉も声には出ない。
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