トイレットペーパー・レクイエム

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「え…」 私はトイレのドアの前で硬直していた。 トイレのドアには鍵が掛けてあり、「トイレ破損の為、ご利用を中止させて頂いております」と貼り紙がしてあった。 「嘘…」 もう、これ以上耐える事は不可能に近かった。 しかし、此処ですべてを諦める訳にはいかない。 私は今一度、お尻に力を入れた。 腹痛には波が存在する。 その波は弱まると、また耐える事が出来る。 幼い頃に一度漏らした時、それを学んだ気がした。 少し波が治まった私は、ドラッグストアに入り、いつも買う十六ロール入りのお徳用トイレットペーパーを引っ提げ、レジへと立った。 そして、念のためにレジを打つ店員に訊いた。 「と、トイレ…使えないんですね…」
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