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エントランスホールの中を雪で濡れた靴でペタペタと歩き、エレベーターの前まで来た。
二基あるエレベーターはどちらもそこには居なかった。
一基は上の階に向かって昇って行き、もう一基は最上階から降りて来る所だった。
こんな時に限って…。
私は、眉が繋がる程に眉間に力を入れた。
眉間とお尻はもしかすると繋がっているのかもしれない。
エレベーターが降りて来る表示をじっと見つめる。
早く、早く…。
こめかみに汗が浮いているのがわかる。
その汗はゆっくりと頬に向かって垂れている。
汗なのか雪なのかはもう重要ではない。
エレベーターの表示はどんどん近付いて来るが、私にはその時間が永遠の様に感じた。
もしかしたら一生このフロアには着かないのかもしれないとも感じられた。
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