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部屋のドアを開けると、トイレットペーパーの袋を引き摺ったまま、私はトイレに入った。
そしてすべてを解放した。
亜佳里の呪いから解放された瞬間だった。
今までの自分の中での戦乱が嘘の様に、その静けさの中で、私は息を吐いた。
頑張った自分を褒めてあげたい。
そんな事を考えると頬が緩んだ。
きっとメロスもこんな気持ちでセリヌンティウスと熱い抱擁を交わしたのだろう。
少しずつ自分に体温と顔色が戻って来ている気がした。
尊厳を守った私の括約筋が少し誇らしかった。
いつもの倍以上お尻を洗い、買って来たばかりのトイレットペーパーを出した。
ホルダーにそれを付けると、その先を三角に折る。
普段はそんな事はしない。
だけど今日はどうしてもそうしたい気分になった。
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