第五章 初デートで縮まる距離は確実に

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「いいもなにも、瑠衣がどうしても嫌じゃないなら一緒に出席してほしい。俺の妻として」  真面目な表情で懇願されて、彼のストレートな言い方も合わさり、妙なプレッシャーを感じる。久弥さんの妻としてちゃんと役目を果たせるだろうか。  この結婚の契約においてそれなりのものを支払っていると言われたら放棄できないし、私に拒否権はない。  久弥さん、本物の夫婦になりたいって言ってくれたけれど、それは契約や期間を関係なくするってこと? それともその前提で?  問いかけようとして、口をつぐむ。  勘違いするなって言われたら? なにを期待しているの?  はっきりさせるべきだと訴えかける自分の声を無視して、明るく別の話題を振る。 「わかりました。妻としての役目を果たせるよう頑張ります。ちゃんとそれなりのドレスを用意しておきますね」  もう一週間後だから今日中にインターネットで頼もうか。何色のフォーマルドレスがいいんだろう。 「このあとの予定は?」  久弥さんに質問しようとしたら、なぜか彼から尋ねられる。 「あ、いいえ。今日はとくになにもありませんが」 「なら行こう」  答えたら間髪を入れずに返され、目を丸くする。話が見えず、正直に尋ねる。 「行くってどこに?」 「決まっている、瑠衣の服を見に行くんだ」  さも当然と言わんばかりの回答に面食らう。 「え、でも。そこまで久弥さんに面倒をかけるわけにはいきません」  ネットでも購入する際には、ちゃんと彼にお伺いは立てるつもりだ。勝手に場違いなドレスを選ぶつもりはない。
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