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『え、カオリちゃんも鈴原君の事が好きなの?』
あたしは目の前が真っ白になった。彼女もおまじないを試そうとしたってこと。同じ人が好きだったこと。それから――おまじないをしているところを見られたこと。見られたってことは、大失敗ってことなわけで。鈴原君に嫌われちゃうと思って、あたしはもう大パニックってわけよ。
『なんで今来んの!?ひどい、あんたのせいで失敗したじゃん!』
はい、八つ当たりです。わかってたけど、当時のあたしは冷静じゃなくて。その場で、小此木さんと大ゲンカになっちゃった。
でもって気が付いたら――小此木さんを突き飛ばしちゃってて。彼女、階段を滑り落ちて――そのまま動かなくなっちゃったの。
あたしは真っ青になった。死んでるのが明白だったんだもん。首がさ、明らかに変な方向に曲がっててさ。そんな強い力で突き飛ばしたつもりもないのに、なんで、どうしてって。
で、あたし、びびってその場から逃げちゃった。殺すつもりなんかなかったけど、これってあたしが殺したことになるんじゃないかって本当に怖くて怖くて。
でもさ、おかしなことが起きたの。
おまじないを試したのは放課後。あたしはびびってそのまま逃げるように家に帰って――びびりながら翌日学校に来たらね?
何の騒ぎにもなってないの。
小此木さんが行方不明になったとか、死んじゃったとか、誰にもニュースになってなかった。それどころか、クラスに“小此木さん”って人がいた形跡がなくなってた。クラス名簿にも、教室の机もないの。まるで、存在が消されてしまったみたいに。
おこのぎ、ってなかなか珍しい苗字じゃん?だからあたしも変わった名前だなーって覚えてた。絶対クラスに彼女はいたはずなの。最後はああなっちゃったけど、そこそこ仲良くしてたしお喋りもしたはずだったのに。
あたしは人を殺した、そう思ってた。でも本当はそうじゃなかったのかな。
小此木さんは、最初から存在してなかった?人間じゃなかった?
結局あたしは自分の罪を、今日まで告白できなかった。話しても誰も信じて貰えないだろうって思ったしね。ただ。
それでもあたし、確かに覚えてるの。
ツインテールの、ちょっと可愛い顔してた小此木さんの顔も――彼女を突き飛ばした感覚も。
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