ケーキを食べたのは誰?

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ケーキを食べたのは誰?

「はああああい!お前ら、注目うううう!」  あたしはババン!と机を叩いて家族を呼んだ。リビングに雁首を揃える旦那と子供とペットたち。全員、冷や汗をかいているように見えるのは気のせいではあるまい。  なんてったって、この家のボスはこのあたしだ。お前らのもんはあたしのもん、あたしのもんもあたしのもんなのだ。 「ええ、たった今仕事から帰ってきたらですね、あたしが大事に大事に、それはそれはだーいじにとっておいたケーキがなくなってるわけですよ。……食ったの誰だ、白状しろやゴラァ!」 「ひっ!」  全員、あたしの希薄に顔面蒼白。目くばせした直後、まず旦那が動いた。  右隣に立つ大学生の長女の肩を、ぽん。  それに合図を受けたように、大学生の長女が震えながら高校生の長男の肩をぽん。  高校生の長男も、首をぶんぶんと横に振りながら中学生の次女の肩をぽん。  さらに中学生の次女が、私じゃないいいい!と叫びながら小学生の次男の肩をぽん。  最後に小学生の次男が泣きそうな顔で、だっこしているベンガル猫のジャックの頭をぽん。ジャック、“いや俺じゃねえよ!?”と言わんばかりににゃああん!と鳴いた。
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