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「今度は何を企んでいるの?」
紫水晶の瞳が射抜くような視線をサンダルフォンに向ける。
苛立ち半分、呆れ半分という様子だ。
「まるで僕がいつも悪いことを企てているような言い方だね」
「事実でしょ」
美しい天使たちがお互いを睨み合う。
表面上は笑顔だが、言葉の尖り方がナイフよりも鋭い。
「また、逃げるつもり?」
ミカエルの言葉に答えず、サンダルフォンは微笑んだ。
無言の肯定と捉えた彼女は、首元を覆うショールに手を掛ける。
「僕の本気が君に止められると思う?」
臨戦態勢に入ろうとするミカエルを嘲笑うように、サンダルフォンの背中から光の翼が現れた。
更に、光の矢がミカエルが手にしたショールを打ち落とす。
拾おうとすれば更に光の矢が飛んできそうだ。
「叛逆でも起こすつもりなの?」
ミカエルはショールを諦め、サンダルフォンに問い掛ける。
彼は微笑みを浮かべたまま、肯定も否定もしなかった。
「天界を降りてまた人間にでもなるつもり?」
サンダルフォンの笑みが深くなる。
「意味わかんない! 何なのよ」
苛立ちをぶつけるミカエルに普段の冷静さはない。
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