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一年に一度の節分の日がやってきた。部屋で一緒にいた彼女が僕にもたれかかるように甘えてくる。
「ねえ、キスして」
いきなりそう言われて僕は戸惑ってしまった。
「どうしたんだよ、急に」
「だって、今日は何の日?」
「え?今日は…節分だろ」
「そう、今日は接吻の日でしょ?だから…ね?」
彼女が僕に見せたことのない艶かく妖しげな表情だ。
「今日は2023年2月3日。2、3、2、3、にぃ、さん…そしてあなたは…私の…実の兄さん…」
魔性の女だ、そう思った。
彼女は、そう、実の妹は僕の体に腕を絡めてくる。
その誘惑に僕は耐えきれなかった。
いけないことと思いつつ、妹と唇を重ねてしまった。
こうして節分の日は僕たち兄妹にとって秘密の接吻の日となった。
THE END
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