《座談会》物静かな人間の会

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《座談会》物静かな人間の会

《参加メンバー》 『運命のひと』・・・二宮修 『ある日突然新人看護師の教育係になりました』・・・大谷勇気 『初めから恋だった』・・・尾関海里 「ま、またここに呼ばれてしまった……今度も知り合いがいるといいんだけど……」 《ぎゃらりぃの前でゴクリと生唾を飲み込む大谷。緊張しながらドアを開ける》 「あれ、五階病棟の……」 「に、二宮さん! お疲れ様です、あ、俺去年から二階病棟に移動になったんですよ」 「そうだったのか。どうりで最近五階で見かけないと思った」 「はは……」 「君たちは知り合い?」 《仲良さげな二宮&大谷を見て、素直に訊ねる尾関》 「同じ職場の同僚です。でも看護師とMEで職種も違いますし、知り合いというより顔見知りに近いですね」 「……エムイー、って何?」 「臨床工学技士のことです。主に病院で扱う人工心肺や呼吸器や透析機器の管理をしています」 「ふうん、丁寧に説明をありがとう」 「どういたしまして」 「す、すみません二宮さん。こちらの方は……?」 「尾関海里さん、研究員だそうだ。俺もさっき会って挨拶を済ませたばかりだから、それくらいしか分からない」 「……どうも」 「あっ、俺は看護師の大谷勇気と申します、どうぞよろしくお願いします」 《大谷が着席し、静寂が訪れる》 「………」 「……で、俺達は何故ここに集められたんだろうか。それにここはどこなんだ?」 「えっと……実は俺は二回目なんです。前回は28歳縛りでしたけど、俺たちは何か共通点があるんでしょうか……あ、ちなみにここを出たらここで話したことは何も覚えてないです。戻ってきたら思い出しましたけど」 《大谷君がいるから説明が省けて有難いです。二名喫煙者がいますけど、ここは禁煙なので吸わないように》 「ここを出たら忘れる……? なんかよく分からないけど、つまりここは異次元空間ってことか?」 「……」 「多分そんな感じじゃないですかね。……えっと、尾関さん、大丈夫ですか?」 「……この空間で死んだらいったいどうなるのか、試してみたい」 「──は?」 「ちょ、何言ってんですか!? やめてくださいよ!!」 「何故。君は知りたくないのか」 「いやっそりゃあ知りたいですけど、死ぬとかそういうのはちょっと……!」 《この空間に関する質問はしないでください。ちなみにここでは死ねません》 「結果を教えてくれるなら別にいい。で、俺たちは何故ここに集められたんだ?」 「また年齢……じゃないよな。俺は31だけど、大谷君は28だろ。ちなみに尾関さんは」 「43だ」 「えっ」 「若っっ」 「……反応がおかしくないか? 若いのはどう見ても君たちの方だろう」 「見た目が43歳には見えない、という驚きの反応ですよ」 「なるほど。君の説明はさっきからとても簡潔明瞭で助かる。えーと、……」 「二宮です」 「二宮君」 「……あの、俺たちの共通点ですけど、同性の恋人がいる、じゃないですか……?」 「は?」 「いやその、前回そうだったので……」 《黙り込む二宮と尾関。その反応で、男の恋人がいるのは明白だった》 「俺は別に隠していない。同性のパートナーがいて、既に結婚もしている」 「えっ、そうなんですか」 「君は? 二宮君」 「お、俺もまあ……そうですけど……」 「大丈夫ですよ二宮さん、ここを出たら全部忘れますから!」 「そういえばそうだったな……。実は同じMEの堂島と付き合ってる」 「どええぇええぇっっっ!?!?!?」 《驚愕の事実に驚きを隠せない大谷》 「……そんなに驚くことか?」 「お、驚きますよぉそりゃあ!! だって堂島さん、ノンケじゃないんですか!? しょっちゅう合コンしてるじゃないですか!! 俺もこないだ誘われましたし!」 「それは堂島が迷惑かけてすまなかったな」 「い、いえそれはいいんですけど、お陰で光さんと両想いになれたんで……」 「光さん?」 「二階病棟の、三澄光さんです」 「ああ……元三階の看護師さん。君の恋人だったのか」 「はい」 「(一時期なんとなく彼に熱っぽい目で見られていたことは黙っておこう)」 「すみません尾関さん、知らない人の話で退屈だと思いますがもう少し二宮さんに質問していいですか? 馴れ初めがめちゃくちゃ気になるんです!!」 「どうぞ(コーヒー美味い)」 「二宮さんも堂島さんもノンケにしか見えなかったんですが、どうやって恋人になったんですか!?!?」 「……直球だな、大谷君」 「元自衛隊員なので!!」 「(それ関係あるか?)……んーと、堂島がそうなったのは俺のせい、だな」 「へぇ……」 「堂島の新しい扉を無理矢理開いたっつーか。でもまあ、俺もノンケだったんだけど」 「!?」 「そういう感じかな」 「何一つ理解できなかったですし、ますます謎が深まってしまいました……」 《おおたに は こんらん している!》 「俺の話はこの辺で。──尾関さんは、今のパートナーの方とはどういった経緯で結婚されたんですか?」 「大学時代からの友人だ。あいつは今、教授をしている」 「へえ。告白したのはどちらからですか?」 「……向こう、かな」 「じゃあ、ずいぶん長いお付き合いだったんですね」 「いや、付き合い出したのは最近だ」 「はい?」 「付き合ってからすぐ結婚した。正しくはパートナーシップ制度、とかいうやつ」 「……」 「……久しぶりに再会した、とかですか?」 「いや、約20年間セフレだった」 「!?!?」 「待って待って、情報過多なんですけど!」 《おおたに と にのみや は こんらんしている!》 「……あの、もしかして20年間お互い片想いだったとか、そういう辛いお話ですか?」 「いや? 俺はそもそもあいつを好きだと気付いて無かったし」 「……じゃあ、20年のうち他の人とも関係があった上でのセフレですか?」 「俺がセックスしてた相手はあいつだけだ。初めても、それ以降も。あいつの方はどうだか知らないが」 「……なんか」 「凄いですね……愛が」 「うん」 「? 好きって気付いたのは最近だから、別に凄くも何ともないが」 「いや、尾関さんじゃなくて相手の方が凄いんですよ」 「向こうから告白してきたってことは、20年間、ずーっと密かに尾関さんのことを愛してきたんですねぇ……」 「は? ……………は!?」 《いきなり真っ赤になる尾関海里43歳》 「うわ、可愛い」 「可愛いですね」 「お、俺が可愛いとか、さては君たちもあいつと同じ変人だな!?」 「俺は至極真っ当な人間ですよ?」 「同じくです」 「真っ当な人間は自分でそんなことは言わないんだ! いい歳したオッサンを揶揄うのはやめてくれ!」 「俺ももうオッサンですけどね。──ああ、コーヒーじゃなくて酒を飲みながら話したかったな……」 「本当ですね……いい肴になったのにな」 「俺は下戸だからコーヒーでいいっ」 「そういえば大谷君のことはあまり聞いてないな。三澄君とはどうやって付き合いだしたんだ?」 「えっと、まあ、よくある酒の勢いで……致してしまいました。両想いだったとはいえ、褒められたもんじゃないですけど」 「え、俺も堂島とのハジメテは酒の勢いだぞ」 「俺も初めて酒を飲んだ日にヤられたな」 「「「……………」」」 (俺たちの共通点って、それか!?) 《最初は物静かな人間の会、だったんですけどね。意外な共通点が見つかりました》 《お酒で結ばれた人たちの会、おわり》 この三人を指名してくださったNOKOさん、リクエストありがとうございました! また絡ませたいキャラのリクエスト等あれば、お待ちしております(*^^*)
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