アルエットとオルカ

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ボクが、この学園で鳥籠計画というものの所為で鳥籠と呼ばれる白い鉄塔の中に幽閉されて早一年経とうとしている。この計画の事は良くは分からないけれど、誰にも会えないのは少し寂しい。 「…ボクは、多分、罰を受けているのかなぁ。……何もしてないけれど、だけど、ボクが何かをして罰を受けるなら納得はいくけど、こんなにも長い時間閉じ込められているなんて耐えられない。……鳥は鳥籠へ。飛ぶために必要な羽を奪われ足掻くボクは何て滑稽なんだろう。嗚呼、このまま独り、いや、一匹は嫌だな。出来ることなら話し相手でも欲しかった。そうすれば退屈は幾らか紛れたのに…」 そんな独り言を延々と呟いていると扉の向こうから若い男の声が聞こえた。ボクは、少し身構えながらその若い男の声に耳を澄ました。 「アル、オレだ。オルカだ。お前は、オレの事を忘れているかもしれない。もう随分と会っていなかったから。でも、オレは、アルの事を覚えているんだ。……でも、まさか、お前が鳥籠計画の被害者だなんて。…なぁ、ちゃんと外には出してもらえているんだろ?まさか、校内にすら入っちゃいけないなんて言われてないよな?」 ボクは、彼の事を知っているし覚えてもいる。だけれど、何故、オルが鳥籠計画の事を知っているのか疑問に思った。この計画は、学園内の人間しか知られていないものだ。なのに、何故この男がそんな事を知っているのか分からずボクは警戒心を強めた。此処の卒業生だと言う事は聞かされていなかった。寧ろ姉妹校の卒業生だと聞かされていたから、尚更怪しい。 「……」 ボクが質問に答えないのに痺れを切らしたのかオルカは扉を強く叩いた。 ガンッガンッ 喧しい音が室内に響き渡る。ボクは耳を塞いだ。 「おい!アルッ!聞こえてんだろ?!返事しろよ!!」 「………っ、」 ボクが必死に耳を塞いでいると何時の間にか扉を叩く音やオルの声は聞こえなくなっていた。ホッとし両耳から手を離した。ふと顔を上げてみるとそこにオルが居た。ボクは、吃驚して今度こそ声が出なくなりパクパクと口を動かした。そんなボクを見たオルは小さな声で 「…何で、そんな怯えてんの?」 そう言えば泣きそうな顔をしていた。
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