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1分後。
「じゃあまた、学校でね」
他愛のない話をして、吉岡君を見送る。
私はもう追いかけることをしなかった。チョコも出さなかった。
もう、気持ちの整理はついている。
「悪かったな」
告白をやめろって、自分から言い出したことなのにフィフは申し訳なさそうな顔をしていた。いい奴だ。私は頭を振る。
「ううん、いいの。
ありがとう。私フィフのおかげで自分の気持ちがわかった」
「そうか」
そう言って彼は弾かれたように空を見た。
「今、博士から連絡が来た。
世界の危機は回避された。雪乃のおかげだ」
「よかった。
じゃあ、帰るんだね」
元気でね、と声をかける。
「……ああ、雪乃も。
そうだ、帰る前に」
ごめんな、と彼は手のひらを私のおでこにかざす。
「記憶を消す」
「ふふ、ホントにやるんだ。
……フィフのこと忘れるなんて寂しいな」
まばゆい光に、私は目を閉じる。
キィィン……と高音が頭に響く中、フィフの声が確かに聞こえた。
「僕は覚えてるよ」
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