結果(side:f)

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結果(side:f)

「マジかよ……」  朝、澄み切った晴天の下、研究所の屋上。  僕は今回の時空移動のデータを確認していた。  フォースはアメリカである男性にぶつかり、彼が宝くじ売り場の行列に並ぶのを3分遅らせた。  結果、男性は当たりくじを買って億万長者になり、何不自由ない生活を送るかたわら晩年は奨学金制度を設立し、学びたい者を支援した。  ハンドレッドはイギリスで女の子が飛び出して車にひかれそうになるのを救う。女の子はフォースが助けた男性の奨学金制度で工学部に入ったのち、研究者として頭角を現し、NASAAに招かれ隕石墜落対策チームの一員として理論を構築する。これが2123年の隕石迎撃システムの元になった。  フィフティ・フィフティの出現で吉岡に告白しなかった笹嶋雪乃は、ヒロトと結婚する。  時が流れ、子供が生まれ、またその子供が生まれ、その先に生まれたのがハル・ウィリアムズ。  雪乃は、ハンドレッドたちを作ったハル博士の曾祖母にあたる人物だった。  僕は目を閉じて、ifの世界を想像する。  僕と会わなければ、雪乃は自分の本当の気持ちに気づかないまま告白していただろう。  ヒロトと結ばれないまま、時が過ぎてしまったら。  百年先、博士もフィフも、フォースもハンドレッドもいない世界に隕石は落ちてきて、それで、ここにはもう何もなかっただろう。  データを閉じた。  今は平和な空を見上げる。
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