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真っ白な空間をひたすら歩いている。建物の中なのだろうか、どこを見渡しても無風無音で何もない。ただ白いだけ。
郁島 颯は、行くあてもなく歩き続けたけど、疲れることもなかった。
ここはどこなのだろうか……
なんでここにいるんだろう……
色々考えたいことがあったけど、頭はボーッとして何も考えることができなかった。
「い……くし……ん……」
「……く……しま……くん……」
あれ?何か聞こえるような……
どこからだろう……
無意識に声のする方へと歩みを進める。
薄っすら目を開けると、見慣れない天井があった。身体が物凄く重くて動かない。一体ここはどこだろう。
「郁島くんっ!」
声のする方に何とか目だけを動かすと、見覚えのない男の人が、僕の名前を呼んでいた。
「郁島くん、聞こえる?」
そう聞かれて、頷きたかったけど上手くできたかわからない。誰だろう……そんなことを考えているとまた、瞼が重くなる。
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