流星群

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中3の夏休みに、家族3人でキャンプに行った。颯の成績は志望校にギリギリで夏休みでも毎日塾通いだった。そんな時に父さんが、気分転換にキャンプに行こうと誘ってきたんだ。余裕がないと断ったけど、今詰めすぎても上手くいかないと言われて半ば強引に連れていかれた。キャンプ場の夜は早く、いつもよりかなり早く寝てしまったので、12時過ぎに目が覚めてしまってテントを出ると父さんが夜空を見上げていた。 「父さん?何してるの?」 「あぁ……颯。トイレか?」 「あ、うん……目、覚めちゃって……」 「空、見てみ。星凄いから」 見上げると宝石を散りばめたような空が広がった。こんな星空はみ見たことがなく、引き込まれるようだ。その時スーッと1つの星が流れる。 「あ、流れ星……すごっ……初めて見た……あっ、また……」 続けてもう1つ目の前で流れる。こんな短時間に2回も……凄い。 「おぉ……流星群かな」 「流星群?」 「流れ星の群れみたいな」 それから、2人で1時間ほど空を見上げていたから、次の日は欠伸が止まらなかった。母さんに眠れなかったのかと聞かれて、流星群を見ていたと言ったら、なんで起こしてくれなかったのと拗ねられた。だから、今度は3人で見ようって言ったんだ。だけど、高校では部活に忙しくしていたし、家族と出歩くこと自体しなくなっていた。この夏休みも誘われていたけど、何だかんだ理由をつけて断っていた。 「それそろ、時間かな……郁島くん、ごめん。今回はここまでかな。ライト付けてくれる?……郁島くん?」 湖城が膝の上に置いていた懐中電灯を取ってスイッチを入れる。ボワっと辺りが明るくなって、現実に引き戻される。 「郁島くん?……何か思い出しちゃった?」 「えっ?」 ポケットティッシュを手渡される。あれ……泣いてる? 「うっ……うっ……うっ……」 「郁島くん、前にも流星群見たことあった?涙が出るってことは思いが溢れ出してるってことなんだよ。そうい時は、ちゃんと言葉にして吐き出した方がいいんだよ」 「父さんと母さんと……また見に行こうって……だけど……断ってた。今、行かなくても……いいと思ってたし……でも……もう……」 もう、その約束は一生果たせない。そう思うと今までモヤがかかっていた、父さんも母さんも、もういないんだという現実が突き刺さる。小さくまるまるように、膝に額を擦り付ける。その時、頭を包まれ、最後の何とか堰き止めていた思いが一気に溢れ出した。1度流れた涙は止めることが出来ずに、小さい子どものように声をあげてしまった。その間も湖城は何も言わずに抱きしめ続けていた。
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