1 大学〜最悪な第一印象〜

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* * * *  ホテルに行くのかと思ったが、連れて行かれたのは宗吾の一人暮らしをしている部屋だった。  お互いに恋愛感情はなかった。ただ欲望の赴くままにキスを繰り返し、ベッドへと(なだ)れ込む。  宗吾から与えられる快楽の波に逆らうことが出来ず、六花は何度も訪れる絶頂に呼吸すらままならなくなる。  熱に浮かされ意識はぼんやりとしていたが、ただ六花はあることに気付いた。 「アサカ……!」  宗吾が何度も何度もその言葉を口にしたので、嫌でも悟ってしまう。  そういうことだったんだ。やっとわかった。彼が好きな人の名前が"アサカ"さんだったんだ。だから私の名前に反応したのね。  その名前を呼ぶのを聞きながら体を貫かれる感覚は、気持ち良さとは別にどこか寂しいものがあった。  でも慰めるって決めたじゃないーー六花は宗吾の頬に手を添えキスをすると、そっと微笑む。  そう呼びながら彼女を愛したかったの? そんなにも深く彼女を愛していたのね……あなたの想いはアサカさんには届かなかったかもしれないけど、私には十分すぎるくらい届いたよ。 「……気が済むまで何回でも私の名前を呼んでいいから……」  すると宗吾は悲しげに唇を噛み、お互いの舌を絡め合いながら、深く激しく動き続ける。 「ずっと……ずっと好きだったんだ……!」  宗吾の悲痛な叫びを飲み込むように、彼の首に腕を回すと貪るようなキスを繰り返した。
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