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「へへへ。獲物を捕まえたぞ。あたしの獲物。一度に三匹だ。うふふ」
金属のような、冷たく鋭利な声音が、防空壕の更に奥から聞こえてきた。
化け物の声なのか?
どうやらロッカー周辺にはいないことが分かった。
「助かったのか?」
「早く扉を閉めて」
僕は急いでロッカーの扉を閉めた。
あたりは静まり返り。静けさの中で三人の呼吸が騒がしく聴こえた。
「さあ、喰おうかしら」
再び冷たい声が聞こえた。
扉は閉めた。古書によれば封印されたはず。なのにどうして。
拓也が後退ると、踵に何かが当たりガランっと音が鳴った。その音に燕がビクリとする。
足下へ目を向けると、そこには化け物の手足に付いていた輪っかが落ちていた。
「なんで、外れてんだ……」
今度は化け物の声で唄が聞こえてきた。
「一匹喰えば錠外れ、二匹喰えば自由とな♪」
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