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「え? 東海林くんが開けるんじゃないの?」
「なんで俺が開けなきゃいけねぇんだよ。祟られたくねぇから勇馬が開けろよ」
何て理不尽なんだ。ここで食い下がってもきっとラチが明かない。いつものことだ。それに、もしも祟られるなら、きっと全員だろう。そう信じることにして僕はロッカーの取っ手に手を伸ばした。
本当に開けていいのだろうか。僕の喉がゴクリと鳴った。背後からも、生唾を呑み込む音が四つ聞こえた。
ええい、ままよ!
頭の中でそう叫んだ僕は、扉を勢いよく開けた。
冷たい空気が僕たち五人の間を吹き抜けた。ただそれだけだった。ロッカーの中は空っぽ。特段何も起きない。
「ほら見ろ。噂はしょせん噂。何も起きねぇじゃねぇか」
東海林は得意げに笑っていた。そんな彼を横目に、僕は胸を撫で下ろした。
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