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 そうとも。これは俺だけが知る、俺だけの絆なんだよ。  「そうやって言われると思ったからノーマルのキャラメルのも買ってあるよ。ほら」  よっぽどの推しなのかレジ横にもポップコーンコーナーがあって、こうなる予感がしたから追い買いしてたんだけど正解だった。   2個で1000円出るから、ちょっと痛かったけどな。 「山登~~っ!」  悲劇のヒロインはピョンと身を起こすと、中腰の俺の首に勢いよく飛びついてくる。 「おっと」  まあ、それも想定内だから転倒なんて不様なことにもならんけど。 「好き好きっ」 「知ってる」  笑顔で頬ずりしながら俺の手の中のポップコーンに手を伸ばしてくる絆。  ういやつめ。  惚れた方が弱いからさ、つい甘やかしちゃうんだけど……。 「待て」 「ん?」 「ものごとには順番というのがあってだな、先に果たさなきゃいけない約束が有るわけだ」 「ん?」  まん丸な目を向けてくるのに、俺は会心の笑みを向けてやった。 「足腰立たなくなるまでヤ・る・の。期待してもらってることですし?」 「……え…」  甘やかすだけが愛じゃないんだ。
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