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青葉さんとのスキー旅行から数日が経った。僕はこの日も大学帰りにあのバーに寄った。いつものカウンター席には和未さんがいて、当然スキー旅行のことを話す羽目になった。彼女によると、「わたしが背中を押したのだから顛末を聞く権利はある」のだそうだ。
僕は仕方なく和未さんにスキー旅行であったこと全てを洗い浚い白状した。
「えー! 告白しなかった?」
和未さんは立ち上がらんばかりの勢いで僕に詰め寄った。テーブルが揺れ、手許のグラスから中身が零れる。
「何勿体ないことしてるのよ。部屋で二人きり、あなたはケガを手当てしたヒーロー、そんな中でその青葉さんは自分の心の内を明かした。こんなの百パーセント告白が成功するやつよ」
「そうなんですけど。まあ、あと正確に言うと、向こうが告白して断ったっていう形になっちゃって」
「は? 何それ」
「実はそのあと、青葉さんがどうして僕に話してくれたのか答えてくれて」
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