日常から離れる瞬間

2/6
11人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
「今終わったんか?」 「はい。これから家に帰って学校に行く準備をしようかと」 「朝飯はどうしたんや?」 「あはは…なにぶんお金がないもので、、では」 僕は苦し紛れの苦笑いをかます。 「これ、持ってけ」 袋を渡される。 中には一日分の量のパンが入っていた。 「いいんですか?」 「いいんだよ。人と人は助けあわねぇとな!」 「では遠慮なく。ありがとうございます」 僕がそうお礼をして家に向かうと、蜜爺は手を振った。 「学校ぉ頑張れよぉ」 僕はそれに手を振りかえした。 3. 学校はほとんど何事もなく終礼を迎えた。 「じゃあ今日もお疲れ様でした!解散!」 陰キャな僕に話しかけてくる人は当然おらず、先生の為になる話?と授業を聞いているだけだった。 それプラス今日は何故か先生に雑用を手伝わされたので、帰るのはとても遅くなってしまった。 唯一起きた問題といえばこれくらいだ。 「今日は疲れたなぁ」 駅のホームには珍しく誰もいない。 〈まもなく、普通、天تعال c¥%ya行きの電車が到着します。お乗りのお客様は、黄色い線の内側まで、お下がりください。〉 「なんだ?」 なんだか聞こえた言葉がおかしかった。 「疲れすぎて幻聴まで聞こえているのか?病院だけ行って今日はバイト休もうかな…」 《ピピン…ピピン…プシュー》 僕は車両に乗り込む。 その途端僕は異変に気づいた。 まず、床が異常に柔らかかった。 とにかく歩きにくいし立ちにくい。 その上椅子もないようだった。 つぎに、車両内の色が目に優しくない。 一面全て真っ赤に染まっていた。 とにかく赤い。 赤すぎる。 すぐにでも目を閉じたいくらいだった。 では何故そうしないのか、最後の理由がここにあった。 「んごぉぉぉぉ…」 電車がいびきをかいて眠っている。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!