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「今終わったんか?」
「はい。これから家に帰って学校に行く準備をしようかと」
「朝飯はどうしたんや?」
「あはは…なにぶんお金がないもので、、では」
僕は苦し紛れの苦笑いをかます。
「これ、持ってけ」
袋を渡される。
中には一日分の量のパンが入っていた。
「いいんですか?」
「いいんだよ。人と人は助けあわねぇとな!」
「では遠慮なく。ありがとうございます」
僕がそうお礼をして家に向かうと、蜜爺は手を振った。
「学校ぉ頑張れよぉ」
僕はそれに手を振りかえした。
3.
学校はほとんど何事もなく終礼を迎えた。
「じゃあ今日もお疲れ様でした!解散!」
陰キャな僕に話しかけてくる人は当然おらず、先生の為になる話?と授業を聞いているだけだった。
それプラス今日は何故か先生に雑用を手伝わされたので、帰るのはとても遅くなってしまった。
唯一起きた問題といえばこれくらいだ。
「今日は疲れたなぁ」
駅のホームには珍しく誰もいない。
〈まもなく、普通、天تعال c¥%ya行きの電車が到着します。お乗りのお客様は、黄色い線の内側まで、お下がりください。〉
「なんだ?」
なんだか聞こえた言葉がおかしかった。
「疲れすぎて幻聴まで聞こえているのか?病院だけ行って今日はバイト休もうかな…」
《ピピン…ピピン…プシュー》
僕は車両に乗り込む。
その途端僕は異変に気づいた。
まず、床が異常に柔らかかった。
とにかく歩きにくいし立ちにくい。
その上椅子もないようだった。
つぎに、車両内の色が目に優しくない。
一面全て真っ赤に染まっていた。
とにかく赤い。
赤すぎる。
すぐにでも目を閉じたいくらいだった。
では何故そうしないのか、最後の理由がここにあった。
「んごぉぉぉぉ…」
電車がいびきをかいて眠っている。
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