日常から離れる瞬間

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4. 僕が目を開けると 「よう」 でかいドラゴンが僕の目の前に寝転がっていた。 「そうか、まだ夢の中か。」 『夢じゃァねえぞ?』 また声が聞こえてきた。 今度ははっきりどこからかわかる。 僕の頭の中だ。 直接響いている様な。 「またあなたですか。て言うか、このえたいの知らない生き物はなんなんですか!?」 『まだ状況を飲み込めてねェみたいだな』 「そりゃまぁ、不思議なことが多すぎて」 『しゃあねェなぁじゃあ順を追って説明するぞ?』 「ぜひお願いしま…」 「おい」 "ドラゴンが待ったをかけた" "表情はわからないが、深刻な雰囲気を漂わせている" 「まさか、あのことを伝えないつもりか?」 『…………。』 "なんともいない空気が場を支配する" あのこと? なんだ?なんのことだ? 『あんな酷いことこいつに伝えられっかよ』 「そのことについては私たちで議論したではないか貴様がどうしても話さぬのなら私が話すしかないが、こう言うのは貴様が話したほうが良いのではないか?」 『…チッ、しゃーねェなぁ。おい偽体出せ。そっちの方が話しやすい』 「わかった。」 トントンとドラゴンが爪で地を2回叩く。 「クローンボディ作成。母体、門司茂」 地面から紋章が浮き出る。 そしてその中から門司茂と同じ顔を持った体が現れる。 「わぁ!?僕がもう一人!?」 「よォ。そんじゃあまず、おめェが一番気になっていることを教える。」 僕のクローンは腕をくみ、深刻な表情を見せる。 「それって」 僕は母のことであると察しをつける。 「わかってると思うが、ズバリお前の母のことだ。落ち着いて聞けよ?」 僕はごくりと唾を飲み、首を縦に小さく振る。 普段は気にしない服の擦れる小さな音でさえ大きく聞こえた。 「おめェの母さんは、もうだいぶ前に死んでいる。」 「え…?」 僕は一瞬言葉を失った。 「なんで…?だって僕は毎月入院料を払って…、」 「おめェは騙されてたんだ。医者の野郎共に」
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