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1.東風解凍 (とうふうこおりをとく)
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わたし:いよいよ立春です。
なぎさ:なんでいよいよなの?
わたし:このシリーズが立春の次の雨水から始まったので、ちょうど1周なんですよ。
なぎさ:なんとか続けてきたわけだ。
わたし:では恒例の立春を各句に置いて。
立春のソーダを買いに自転車で
なぎさ:もうわざと平凡に詠もうとしてるよね。
愛されぬ立春の闇土を掘る
わたし:お、おう。
くしゃみして蜘蛛の降り来る立春や
なぎさ:実体験ぽいねー。あんたのくしゃみうるさいから。
わたし:えへへ。凍えてた蜘蛛が目覚めたって情景です。
東風解凍(とうふうこおりをとく)とは、春の風(東風)が氷を解かすという意味です。
東風(こち)吹かば匂ひ起こせよ梅の花
主なしとて春を忘るな
という菅原道真、すなわち天神様の歌ですが、やわらかい風と梅の香りがいち早く春を告げるという季節感が見事です。
写真は1/30に撮った亀戸天神社の蝋梅です。いい香りでした。
なぎさ:東からの風がなぜこちなの?
わたし:東風がこちってわけじゃなくて、春の東風がこち、夏の東風はあゆっていうみたいです。でも、語源は諸説ありますって感じです。
なぎさ:ふうん。こちって魚もあるよね。漁師が付けたのかな。
わたし:漁師は風に敏感だろうから、ありえないこともないかな。
あらかじめ言っておきたいんだけど、このシリーズは立春で終わりにしたいと思います。
なぎさ:え? なんで?
わたし:最初に言ったように一回りしたし、インスタグラムもあって違いを出すのがむずかしいし。
なぎさ:そんなぁ、あたしはこっちにしか出てないよ。あたし消えちゃうの?
わたし:消えるとか、そんなことじゃなくて……恋する定家に出てるじゃない。余裕を作って、ああいうのをもっと進めたいんです。
なぎさ:でも、あたしが降臨したのはここだし。
わたし:神か? 清明の桜の頃、上越市の海岸だったんだよね。夜明けの空を見上げて、
魂のゆく方なるか春の空
って詠んだら、
なぎさ:あたしが、
魂は空にはないよ君のそば
って返事したんだよね。なつかしいね。
梅探り香りとともにさようなら
わたし:だーかーらー、サヨナラじゃないって。
なぎさ:これ以上騙さないで。
アオサギの長きショールをなぶる東風(こち)
わたし:誰がサギやねん!
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